狙われし姫巫女と半妖の守護者
今度は前で声がして目を見開くと、ふさふさとした七つの尾が見えたのだ。
「えっ、ウソ……?」
そんなバカなと、私は手で口を覆う。
若草色の着物に紺色の野袴姿の男の人のお尻から、尻尾が確かに生えている。
頭には狐のような耳まで。
私に向けてすまなそうに微笑む、長身の優しげな男の人。
私は更に驚いて目を丸くする。
この間、着物のこの彼と一緒にいた、あの上級生らしき人だ。
「あっ、あなたまで!?」
声がへなへなと裏返る。
現実とかけ離れた物事についていけそうにない。
でもそう思えたのもつかの間。
「弱い仲間がしゃしゃり出て邪魔しないでよ」
その声で思い出し瞬時に上を向けば、烏天狗が振りかぶって光線を飛ばしていた。