狙われし姫巫女と半妖の守護者
降り下ろされた手から黒い光線がほとばしる。
私は頭を抱えてしゃがみこんだけれど、宙に黒い影が勢いよく飛んできた。
倉庫の屋根を四つん這いで身軽に伝い、一気に烏天狗の元へと飛び込んでいく。
そのさまはまるでネコみたい……。
「そうはさせるかよ! 散れ、烏天狗!」
人間の体に細い尻尾が揺れ、猫の耳がたっている。
今度は、ネコ人間!?
彼は大きく叫びながら、烏天狗に向かって豪快に引っ掻きにかかる。
けれど、間一髪、黒い翼で後ろに飛びのく烏天狗。
「俺は姫巫女様と遊んでたのに、次から次へと邪魔に入るなんて、君たちは無粋だよね~。さすが、汚れた半妖さん。そろそろ帰ろうかな」
一気に飛び上がった烏天狗は、一番そばにたっている電柱の先に易々と立って、私たちを見下ろしていた。
それも厭味ったらしい笑みを纏って、蔑んでいる。
自然と私を背に隠す着物の彼の拳が、悔しげにきつく握られる。