狙われし姫巫女と半妖の守護者


私は未だに、あの烏天狗の涼しげな薄笑いが怖い。

胸がどんどんざわついて、それを堪えるように両手で胸に手を当てる。

すると烏天狗は、私へ向かってこう呼びかけたんだ。

「姫巫女様。あの話、よ~く考えといてよね」

私に押し付けるような重い言い方。

なんなの? あの人はなにが目的なの?

なにもかもまったくわからない。

烏天狗はそれだけ言い残すと、大きな翼を仰いですぐに飛び立った。

「待てよ! 逃げんのか!」

そう叫びながら倉庫の屋根の上を全速力で駆けていくネコの彼。

「やめろ、バカ! 深追いするな! 俺らの任務はそれじゃないだろ!」

着物の彼が凄まじい剣幕で怒鳴りつけると、ネコの男の子はピタリと制止する。

「さあ、後始末をして撤退するぞ」

彼は狐とネコの男子に号令をかけ、私から遠ざかっていく。

また、私は置いてきぼり……。


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