狙われし姫巫女と半妖の守護者
バカは、こっちのセリフだよ……。
なんにも教えないで、巻き込むだけ巻き込んで、随分勝手じゃない。
私は手の平に爪痕がつくくらい拳を握りしめ、遠ざかる背中に声を突き刺した。
「ちょっと、待ちなさいよ……! 全部、わかるように説明してよ!」
瞼をギュッと閉じて、手にもぐっと力をこめて、振り絞るように叫ぶ。
このままなにも知らないで、納得なんてできない。
「助けてもらったことには感謝してる。でも、巻き込まれてる以上、私だって知る権利がある!」
私は、無表情でこちらを振り返っている着物の彼に向けて、強い眼差しを向ける。
強く胸を叩いて訴えかける。
「あなたたちはなに? 伝説と関係があるの? 烏天狗は、なんで私を狙うの!?」
今日ばかりは、絶対に白状させる。
このままじゃ、普通に暮らすこともできない。
こんな、普通じゃない生活なんてもう嫌だ。