狙われし姫巫女と半妖の守護者
「紫希、もう限界なんじゃないか?」
狐の尾を生やした男子は眉をひそめ、着物の彼の肩を叩いてそう言う。
けれど、彼はその手を払いのけ、口を引き結んだ。
返ってこない答えに耐えられず、私は下唇を噛み締める。
すると、さっき屋根の上を駆けていたネコ人間の男の子が地面に飛び降りてきたのだ。
「紫希くん、何年も一緒にいたのになんにも教えてないんだね」
にやつきながらも、だるげに目を細め腕組みをするネコ耳の男の子。
何年もってなに……?
でもその疑問を口にするより前に、私は顔をしかめた。
特徴的な癖っ毛の赤髪。
エンジ色の着物と黒の股引に身を包んだ、男の子の割に小柄な体。
そして眠そうな表情。
私は、この子を知ってる……。
「あなた、猫丸くん!?」