狙われし姫巫女と半妖の守護者
彼は赤髪を手でぐしゃりとつまみ、私に向かって頷いた。
「ああ、そうだよ。君を守るために、僕も七瀬くんも、紫希くんも、学校に潜り込んでる」
猫丸くんは当たり前のことのように平然と言ってのける。
飽きたのか、足元の石ころまで蹴りだした。
そして、気にくわなそうに唇を尖らせる。
「ていうかさ、伝説って言われ方、ウソくさくて嫌いだね。そんな生ぬるいもんじゃない。全部、本当にあったことだよ。今だって終わってない」
さっきまでのだるそうな目つきはどこへやら。
猫丸くんの、赤みがかった瞳が鋭い煌めきを放つ。
敵意むき出しの尖った視線。
ぐらついた足元で、小砂利がなく。
あれは、本気の目だ。
どこまでも真剣な、スキを見せない目……。
不安に胸がざわめく。
そして私は、そっと口にした。