狙われし姫巫女と半妖の守護者
なんで、突然姫巫女なんて呼ぶの……?
その落ち着きすぎた表情と低い声が怖い。
さっきまでとは別人みたい。
私は腕の下をくぐりぬけようと素早く動いた。
「逃がさないよ。それより、覚醒はまだなのかな?」
でも無理矢理肩を掴まれて、岩肌に背中を打ちつけられる。
背中に走った痛みに顔を歪めた。
今度こそ1ミリだって動けない。
目の前で彼は瞳をギラリと光らせ、私は一瞬にして寒気がした。
姫巫女? 覚醒? わけのわからない言葉を並べて、なんなの、この人?
すると彼は片手を私の胸元に伸ばしてくる。
「きゃ!」
カバンは投げ捨てられ、ブラウスのボタンが眼前に弾け飛んだ。