狙われし姫巫女と半妖の守護者
猫丸くんもまた、屋根の上を駆け去っていく。
さっきの言葉の余韻が、まだそこに重々しく漂っている。
どういう意味……?
私はへたりこむように、しゃがみこんだ。
「全然わかんない。私の力ってなに? 何年もってなに……」
私になにがあって、何のために守ってくれてるの?
ぐしゃりと髪をかき乱す。
「ねえ、誤解は、しないでほしい……」
弱々しい声が聞こえた。
のそりと顔をあげれば、まだ立ち止まっていた狐の七瀬くん。
尻尾を元気なく垂らし、俯いたまま言葉を紡いでいる。
私の方は一切見ずに、苦しげに眉根を寄せていた。
「俺も詳しいことは言えない。でも紫希は悪いヤツなんかじゃないんだ。それだけはわかってほしい」
切羽詰まった、一生懸命な声だった。