狙われし姫巫女と半妖の守護者


いくら考えたってわからない。

彼のこと、なにひとつ知らない……。

ふいに道の方から、賑やかないつも通りの話声が聞こえる。

いくつもの足音が重なる。

普通の、日常の、いつも通りの音。

いちいち、こんな音を普通だって思うようになったのは、いつからだったのかな。

横目で傍らを見やる。

私の隣にあったはずのあの大きな鉄骨はない。

辺りは、来たときと同じように鉄骨が高く積まれている。

やっぱり彼らは人じゃない。

人間とは全然違う……。

赤茶けた鉄骨の山の間から見上げる淡い水色の空は、高かった。


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