狙われし姫巫女と半妖の守護者


この現代の日本で、刀。

あの闇の中でも認識できた白っぽい着物。

切れ長の目。

風にサラリと揺れた短い黒髪。

教科書を握っていた手から、力が抜けた。

数百枚のページが扇の形を描いて、一瞬にして閉じていく。

私の頭の中にも、今気づいたばかりの一番事実に近い仮説が一気に駆け抜けていく。

目を大きく見開いて、放心状態になる私。

授業の声なんて、潮が引くみたいに一瞬にして遠のいた。

私の記憶がウソで、あの夢が現実ならば、どうなるの……?

猫丸くんと七瀬くんは言っていた。

紫希が何年も私のそばにいたという、信じられないようなこと。

私がまだ幼稚園生だったあの日あの時、助けてくれたあのお兄さんが紫希だったとしたら……。

私はもう彼に会っていた。

あの日からもう、守られていたことになる……。


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