狙われし姫巫女と半妖の守護者
いつもと同じに整然と並ぶ机と生徒の小さな群衆の中で、私だけがひっそりと立ちすくんでいた。
周りは和気あいあいとした喧噪の海になって、私だけとけこめずにポツンと浮かんでいる。
まだ、喉の奥が苦しい。
彼の、紫希の、真実を知りたい。
私はきっと、知らなきゃならない。
頬に流れ出た涙をブレザーの袖口が吸う。
このままじゃ、絶対にいけないよ……。
「凛、泣いてる?」
突然、抑えた声で呼びかけられた。
ハッとして指の隙間からうかがい見れば、イスに座ったままの真央が体の向きを変えて私を見上げている。
瞳は心配そうに揺らめいて、一直線に揃えられた前髪の向こうに歪められた眉が透けて見える。
この涙を見られちゃいけない。
私はすぐさま袖で乱暴に目のあたりを拭って、くるりと背を向ける。