狙われし姫巫女と半妖の守護者
声をあげて泣きたくて震えそうになる下唇を、吸い上げてまで噛みしめた。
こいつらの前で、泣くもんか。
涙なんて落とすもんか。
引きちぎりそうなくらいに鎖を握って、私は必死にこらえていた。
『おい、口きけねぇのかよ! なんとか言えよぉ!』
乱暴にブランコが揺すられて、酔いそうに体が揺らいだ。
寄ってたかってくる男子はもちろん怖いけど、なんでこんなこと言われなきゃならないのか私はそれの方がイヤだった。
悔しくて、悲しくて、もう我慢できずに涙が落ちそうだった。
『男子が、女の子ひとりに卑怯なことしてんなー! おらー!』
だけど、涙が落ちそうになった瞬間、長い枝を振りまわした子供が飛び出してきたんだ。
私と背丈の変わらない、おかっぱ頭の女の子。
どんなもんだいと決め顔でニィッと笑って振り向いた彼女は、私にとってまさにヒーローだった。