狙われし姫巫女と半妖の守護者
『うげ、石川だっ!』
あの大将の男の子までも、まずそうに後ずさっていった。
でも、ヒーローは簡単になんて逃がさない。
キュロットスカートをはためかせながら仁王立ちする女の子の背中はとても大きかった。
『あんたのお母さんのこと、同じように言われたらどんな気持ちがする? 言ってみな!』
私はただ、真剣に彼女のことを見ていた。
胸の奥が急に熱くなって、男の子たちはもごもごと口ごもってどんどん小さくなっていった。
『凛ちゃんの大事なお母さんのこと、そんな風に言ったら許さないんだからねっ!』
瞼の上にたまっていた涙がぽろりと落ちた。
嬉しかった。
私の言いたかったことを言ってくれた。
全部全部言ってくれたんだ。
『わかったならもう凛ちゃんにこんなことしないでよね!』
彼女がまた木の枝を振りまわすと、男の子たちは尻尾を巻いて逃げていった。