狙われし姫巫女と半妖の守護者


胸が熱くてたまらなくて、私は堰を切ったように泣いた。

びーびーと恥ずかしげもなく泣き叫んで、ただただほっとしていたんだ。

『凛ちゃんは泣き虫だなぁ。もう大丈夫だよ』

そんな私の肩をパンパンと叩いて、しわくちゃなハンカチを差し出してくれた彼女。

同い年の、同じクラスの挨拶くらいしかしたことのない、真央ちゃん。

『まっ真央ちゃん、ふえっ、えっく、あっありがとぉ!』

しゃくりあげながらやっとのことで言ったお礼。

貸してもらったハンカチは、涙とも鼻水ともわからないものですっかりぐしょぐしょだった。

だけど彼女は、おかっぱの髪を大きく揺らして豪快に笑っていたのだった。

*・*・*・*・*

これが、私と真央の出会い。

今じゃあ、高校デビューですっかり女らしくなった真央だけど、あの頃は男の子にも負けない女の子だった。

今だって、あの正義感あふれる部分は消せるわけがなく、にじみでてしまっている。


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