狙われし姫巫女と半妖の守護者
私はそんな真央が大好き。
あの日、なにも言いかえせなかった私の代わりに言ってくれた真央の言葉がどれほど嬉しいものだったか……。
ねえ、真央は知ってるかな?
少し胸があたたかくなって私は立ち上がり、個室の扉を開いた。
けれど、開け放したまま足が止まる。
「真央……」
他に誰もいない静まり返った女子トイレの流しの前に、ボブヘアの女子がぽつんと立っていた。
「凛、最近なにがあった?」
真央は私だけをじっと見つめて逃さず問いかけてくる。
そこに真央がいたことに私は酷く動揺して視線を逸らしてしまった。
「なにも、ないよ……」
気のきいたウソもはけず、私はそそくさと真央を避けて流しに向かう。
蛇口をひねって勢いよく出てくる水音に、真央の荒っぽい声が重なった。
「私にウソつくの? 今まで気づかないふりしてた。でもいい加減気づくってば」