狙われし姫巫女と半妖の守護者
へたりこんでいる私は必死になって手に力を込めるけど、手首に巻かれたなにかが皮膚に食い込み、きりきりと痛みだす。
なのに彼はおかしくてしょうがなさそうにケラケラと笑い声をあげ、私の前を悠長にうろついている。
「君の思っている通り、僕は人間なんかと同じ低俗な生き物じゃない。あのネコはね、僕の妖術で操ってたんだよ。それでまんまと引っかかっちゃって、人間ってバカだよね」
私は手の動きをとめる。
彼はつけたすように、ちょっとケガもさせたかな、なんて軽々しく口走った。
「あんた……最低ね……。そんなことまでして、なんで笑ってられるの!?」
私が我慢できずに怒ると、彼は足を止め急に声を荒らげた。
「うるさいな! 兄貴はなんで君なんかがほしいんだか。君なんてあの力がなければ、かまう価値もないんだ」