狙われし姫巫女と半妖の守護者
猫丸くんの言葉に目を丸くすると、片手でタイ焼きを差し出し、視線で自分の隣を指し示していた。
改めて自分の立っている位置を確認すれば、斜め前で結構近い……。
口は真一文字に結んでいてむすっとしており、有無を言わさない模様……。
「あぁ、うん……」
私は丁重にタイ焼きを受け取り、遠慮がちにベンチの端っこに腰を下ろした。
ひとり十分に座れそうなスペースを開けて。
私はまだ温かいタイ焼きの目玉を静かに見やって、ぽつりと呟いた。
「猫丸くん、あの……」
「乱麻でいいよ。あんたと僕は同い年だし、村じゃみんな名前で呼ぶから」
あまりに早い切りかえしに、私は面食らった。
クラスではいつも眠そうにしている彼が、気さくにそんなことを言ってくるなんて思いもしなかった。
だから私はぎこちなく、もう一度話しだした。
「じゃ、じゃあ、乱麻くん。私知りたいの……」