狙われし姫巫女と半妖の守護者
ふんわりとしたカーディガンは大きいのか、肩の縫い目は二の腕の途中に落ちてしまっている。
大食いのようだけれど、背丈なんて私と変わらない男の子だ。
私と同い年で成人で、あの恐ろしい烏天狗と戦っているなんて考えられないなと、頭の片隅で思う。
夕暮れの冷えた風が、頬を掠めていく。
「で、それからは学校関係者の記憶を妖術でいじくって学校に潜り込み、あんたの警護をしてるわけ。そんな無理までしてあんたを死守しなきゃならないの」
次から次へとあり得ない話が湯水のようにわいてくる。
もう頭の中はフル稼働。
真央が知らなかったのも無理はないわけだ。
けれど、そうまでして私を守ってくれるわけが未だにわからない。
そんなとき、乱麻くんはふいにタイ焼きにかけた手をとめたのだ。
「だけど、いや、だからこそ、紫希くんはよくわからないよね」
乱麻くんの顎がスッと天を向く。