狙われし姫巫女と半妖の守護者
あんこのついた指をぺろりと舐める乱麻くんが、簡単に言い捨てた。
私は呆然と目を見開いて、動けなかった。
肌まで紅く染め上げられた乱麻くんの顔を、カーディガンのチリチリと金色に光る繊維を、ぼんやりと捉えることしかできない。
あの言葉が、すとんと胸に落ちていったのだ。
「覚えがありそうな顔だね。手がかかるよ、まったく」
乱麻くんのぼやきが、頭の中で響く。
自分が、普通の人間から遠ざかった者と認めたようで、怖くなる。
私は自分の身をそっと抱き、不安に波打つ声を紡ぎだす。
「私、最近思い出したの、幼稚園児だった頃のこと。見えない者の声。あと、紫希によく似た中学生くらいの人……。あれって……」
「高校生なんかの格好してるけど、紫希くんたちなんかもう24歳だからねぇ~」
怖々言う私に対し、おちゃらけた風に返す乱麻くん。
タイ焼きのしっぽをつまみ上げて一口頬張ると、ぱっちりと開いた目で私を見つめた。