狙われし姫巫女と半妖の守護者


私が生まれた。

そして、お母さんが亡くなった……。

全部、約16年前に起きたこと。

あんまりにも都合よく、同じ年……。

なぜか、指先が小刻みに震えた。

私とお母さんのことは、まったく別のことだとわかっているつもりだ。

でも、心には根拠もない嫌な予感がはしる。

私の唇からは自然と言葉が溢れでた。

「その16年前の事件って……、何月何日よ……?」

私の誕生日は5月7日。

お母さんの命日は、5月30日。

4月の末の今日から考えれば、まさにもうすぐ。

答えを待つ心臓の鼓動が早まった。

「もうこれ以上は無理」

けれど、乱麻くんはぴしゃりと言いきった。

丸めた袋を、一発でゴミ箱へ投げ入れる。

そうしてもう他人のようなふりをして、すっくと立ち上がった。


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