狙われし姫巫女と半妖の守護者


唯一の家族である私たちふたりが、そんな風になることを、お母さんは望みはしない。

「詳しくなんて、教えてもらってない。もともと体が弱かったの? 病気でもしてたの?」

涙に濡れそうになる声を強がりでごまかして、もう一度お父さんに問いかける。

「ねえ、お父さん、いい加減本当のことを教えてよ」

力んでテーブルの端にかけた手が、怖さに震えていた。

茶碗の上に乗っていた箸が、わずかに揺れてわびしい音を奏でる。

「凛、なにが言いたい?」

凍てついたお父さんの声音。

私は思わず身を縮めて、目を見開いた。

あぐらを組み直したお父さんは、背中を丸め岩のように動かない。

俯いて暗がりになった顔からは表情など読みとれなかった。

お父さんがなにを考えているのか、さっぱりわからない。

胸騒ぎがしてひるみそうになる私は、自身の胸をおさえつけ、決死の思いでこの一言を呟いた。


< 177 / 568 >

この作品をシェア

pagetop