狙われし姫巫女と半妖の守護者
もう数えられないほどの木の横をくぐり抜け、私はどこにいるのかもわからない。
息は切れ、地を踏むたびに足場はぐらつく。
夜の空気は冷え、ショートパンツから出ている脚は、風を切るたびに寒さを覚える。
どんどん、ひとりになっていく……。
目を凝らしたって、周りは薄気味悪い闇。
出口なんてない。
木に閉ざされた森。
背中に寒気が駆けあがり、ひたすらに走る。
でも、脚は根元から強張っていく。
私は上がっている息に混ざって嗚咽を漏らす。
自分が何者かも知らされず、唯一の家族にはウソをつかれて、私は一体なんなんだ?
全部が悔しい。
そんなにも私を爪弾きにするのなら、私はどこか遠くへ出ていってやる……。
お父さんにも紫希にも、なにもかも思わせぶりに秘密にされて。
張本人の私はカヤの外にされて笑っちゃう。