狙われし姫巫女と半妖の守護者


こんなんでさ、私がいる意味ってなになわけ……?

その瞬間、私はハッと大きく息をのんだ。

思うように動かなかった足が、地面の枝につっかえる。

瞬きの間に体は湿った地面に投げ出され、膝には鈍い痛みが走った。

「んっ、痛っ」

枝や葉だらけの地面に手をつき身を起こし、膝に触れてみればじんと駆け抜ける痛みに顔をしかめる。

手にはなにか湿り気のある黒っぽいものがついた。

わずかな鉄のにおい。血だ。

「ああ……」

私はふてくされて腕を投げ出し、うなだれる。

踏んだり蹴ったりっていうのは、きっとこういうことを言うんだ。

ひとりぼっちで、空回りして、痛い思いして。

こんなショートパンツで森に入っちゃって、私はなにをしているんだろう。


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