狙われし姫巫女と半妖の守護者


キズが、ただ痛む。

枯れ葉を掴んだら、手の平の中で簡単に壊れた。

さて、これからどうしよう。

私はぺたりと座りこんだまま、下唇をかみしめて、上を見上げる。

ああ、先の読めない私の未来みたい。

無数に伸びる木々の黒い手に埋め尽くされて、星なんてひとつも見えなかった。

するとふいに、妙な声が耳に入りこんでくる。

「人の子か?」

「ただの人の子の匂いではないぞ」

「うまそうな匂い。ケッケッケッケ!」

低く血に響くような声が、あたりに広がっていく。

金縛りにあったみたいに、体がこわばって動かない。

視覚を奪われたかのような闇の森の中に、耳をつんざくような高笑いが聞こえる。

「なっなに……!? 誰!?」

あらく息をしながら、周りに視線を走らせるも、うごめくものはひとつもない。


< 185 / 568 >

この作品をシェア

pagetop