狙われし姫巫女と半妖の守護者
頭上から降ってくる光線を阻むものは何ひとつなく、稲妻の如くまっ逆さまに落ちてくる。
しかし、その時風が唸り、刀の切っ先が黒い光線を引き裂いた。
素早く翻る背中、豪快に立ち回る足元、流れる視線。
無駄のない綺麗な身のこなし。
切っ先は綺麗な弧を描き、鋭い風が吹き抜けていく様に、私は見入っていた。
彼の周りに吹く疾風。
その中で、彼の着物の袖がハナミズキの花のように艶やかに舞っている。
まるで、誰も寄せ付けない、美しい、花……。
吸い込まれるように見ていると、彼は刀を振りさばききり私に眼差しを向けている。
「お前はここで大人しくしていろ」
私をまっすぐに見つめて囁く彼。
一時だけ交わる視線。見る者を惹きつける切れ長の涼やかな目にとらわれる。
その瞬間に私の心へと風が吹き抜けていった気がした。
同時に彼が地を蹴って飛び出していく。
「この娘から手を引け!」