狙われし姫巫女と半妖の守護者
きれいに磨かれて冷たい青白い光の線を描き出しているけれど、刃はボロボロだった。
いつも凄まじい動きで刃なんてよく見えていなかった。
けれど、いったい何十、何百の修羅場を抜けてきたのかわからないほどに、激しい刃こぼれ。
戦など知らないのに、胸に苦しいものが押し寄せる。
紫希は、こんなにも重いものを、いつも操ってきたの……?
「なのに昔の戦で多くの半妖が命を落とし、前線で戦えるのはもう俺ら3人以外にほとんどいない。たった3人で烏天狗から、村も、お前も、守るんだ」
なんで、この人はこんなに強いの……?
木々の間を風がすりぬけていく。
彼の着物は風に大きくはためく。
けれど彼自身は揺らぎもしない。
私は、思わず夢中になって瞳に見入った。
刃の光のごとく、ほの青い鋭い光に、私は静かに息をのむ。
「この過酷な状況がわかったなら、大人しくしていてくれ」