狙われし姫巫女と半妖の守護者

化けの皮



*・*・*・*・*

いつもと変わらず、教室にはチャイムが鳴り響く。

ゴールデンウィークあけ初の学校を終えて、側の席の乱麻くんは大きなあくびをひとつついた。

寝癖のついた赤髪が自由奔放に跳ねている。

私は俯き、イヤでもこの間のことを思い出す。

お母さんが姫巫女だったなんて、まだ気持ちの整理がつかない。

それも、烏天狗に命を奪われたなんて……。

掴んだはずの真実が、砂のようにサラサラと手からこぼれ落ちていくみたい。

そこまでのこと、思いもしなかった。

私は無力な自分の手の平をぼんやりと見下ろす。

こぼれ落ちていく代わりに、この手の中にどろりとした憎しみがわいてきそう。

今までに味わったことのない、汚い憎しみ。

だって、そんな烏天狗をどう許せというの?

でも、私はハッとして周りを見た。


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