狙われし姫巫女と半妖の守護者


私はその場にとどまったまま、目の前で繰り広げられる光景に息をも忘れた。

刃と黒い光線が何度も火花を散らし交錯する。

いつ当たるかもわからない集中攻撃に、私はひやひやして体に力がこもる。

だけど、刀は連続して鈍い音をたてながら、彼はたくましい腕で攻撃を跳ねのけていく。

めまぐるしくふたりの位置は変わり、目にもとまらぬほどの速さで刀が光線を裂き斬る。

私は音をたてて唾を飲みこんだ。

烏天狗の男は空を飛んでいるのに、地上にいる彼は一歩も引いてはいない。

耳や肩を光線がかすめていくのを彼は素早く飛びかわす。

そして一瞬の間に、彼は大胆に野を蹴った。

私は大きく息をのむ。

たったの一蹴りで、浮かんでいる男との間合いを一気に詰めたのだ。

もう刃が届く距離。

でもその時、烏天狗は翼を強く仰いだのだ。

辺りには砂埃が一斉に巻き起こり、視界を奪う。


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