狙われし姫巫女と半妖の守護者
大ぜいが笑い合い、ある人は面倒そうに、いたって平和に席を立ちはじめる。
なぜか呆然と立ち尽くしてしまった。
私だけ。
私だけ、人を殺めてしまいそうなほどの憎しみを抱えて、同じ場所に立っている。
この間までは距離を感じるだけだったのが、いつから別世界に見えるようになった?
目の前には私とはかけ離れた平穏な日々が広がっている。
私の心の中だけに、嵐が吹き荒れている。
私はすっと、窓ガラスに映った自分を見て、静止した。
不幸そうな、顔……。
落ちくぼんだ瞳からは光が消え、私ではない私がそこに立っていた。
こんなの、私じゃない……!
必死に否定したくて私はおろおろと目を背ける。
「あのさ、凛……」
そんな最中に、肩を落とした真央が目の前に立ちすくんでいた。