狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は反射的にカバンを背負う。
「ごめん、また今度にして……」
断ち切るように背を向け走り出す。
もう、こんな憎しみに染まった私の顔を真央には向けられない。
こんな風になってしまった私を、誰にも見られたくない。
すべて聞こえないふり、見えないふりをして、生徒の間を縫い私は立ち退く。
だけどやっと教室を脱出した先で、誰かに立ちふさがられた。
「鈴代、どうかしたのか?」
爪先をもどかしい思いで床に突き刺す。
私は俯いたまま、その人を見上げない。
爽やかなブルーのワイシャツの袖口と、その包み込むような声。
「顔色、よくないぞ……。なにがあった?」
それでも私はかたくなに俯いたまま口を閉ざす。
「先生な、この間石川に聞かれて……。お前ら、仲いいのにどうしたんだよ?」
目の前にある大きな体が動き、私の顔を覗き込もうとする。