狙われし姫巫女と半妖の守護者
まっ白な廊下に、扇のように広がった本が宙に飛び上がる。
それはまるで、ばさりと羽ばたくまっ白な鳥のよう……。
無数の紙の翼の間から、ぐらりと揺らぐ男子が見える。
九条くんだ……。
「あっ……」
私は声を漏らし手をのべた。
彼の短い黒髪がさらりと舞う。
ガラス細工のような美しい瞳は懸命に見開かれ、彼も私に向かって手を伸ばす。
そうして、その繊細な手を掴んだ瞬間、本の鳥は一斉に墜落した。
思わず身体をこわばらせてしまうほどの派手な落下音が廊下に反響する。
「ごめん! 大丈夫!?」
私は辺り一面の落ちている本を押しのけ、大慌てで彼の元に膝まづく。
「大丈夫大丈夫。鈴代さんの方こそケガはない?」
九条くんはきれいすぎる顔を崩して、照れたように目を細める。