狙われし姫巫女と半妖の守護者
尻もちをついて、脚には本が覆いかぶさって、散々な目に合っているっていうのに。
私は申し訳なくなって目を伏せた。
「私は平気だよ。本当にごめんね。私がよく見ずに走ってたせいで」
散乱している歴史関係の資料を私はせっせと集め出す。
なんども床に手を伸ばしながら、私は短くため息をつく。
いったい、私はなにをしているんだろう。
キュッキュと上履きが泣いているかのように音をたてる。
ふたりだけじゃなく、九条くんにまで迷惑をかけてしまった。
「お詫びに、この仕事は私がしておくよ。社会科の資料室に持っていけばいいのかな?」
私は完全に肩を落とし、九条くんの方をちらりとも見ないようにしながら、残りの一冊を拾い上げた。
すると、私の膝の上に積み上げた資料にすっと手が伸びてきたんだ。
呆気にとられている間に、資料の半分以上がその手に回収されていく。
その手に誘導されるように私の視線はついていってしまう。