狙われし姫巫女と半妖の守護者


「ふん、こざかしい」

その時、私の目には余裕下につり上がる口角が見えたのだ。

寒気がぞっと背筋を走り抜ける。

必死の形相で、あと数十センチまで真央の指先が私へとのびてくる。

しかし彼は、片手で私をおさえたまま、あいているもう片方の手を一気に振り抜いた。

まっ黒な光線が指先からほとばしり、真央の腹に命中する。

「真央っ!」

軽い体はろう下へとすっ飛んでいく。

そんな中でも、真央の澄んだ瞳は私へと向けられていた。

吹き飛ばされながらも尚、必死な眼差しを私に送り続けて手を伸ばしている。

胸が張り裂けそうに痛い。

真央の華奢な体がろう下の窓の下の壁に打ちつけられ、力なく四肢を投げ出して横たわる。

「真央っ! 真央真央!」

喉が痛いほど名を呼ぶ。

神が覆いかぶさった真央の顔は唇さえうかがえない。


< 215 / 568 >

この作品をシェア

pagetop