狙われし姫巫女と半妖の守護者


元気のいい声は鳴りやみ、段々と押し負けている。

けれど、そんな戦場へ高らかに解き放たれる声。

「半端者のくせに、いきがったことを。よかろう。2人とも下がれ」

一直線に天へ向かって伸ばされた一本の腕がそびえている。

ひときわ大きく広がった翼に、かっと見開かれた黒い瞳。

のびた手の先には、金文字で烏の文字が記された、業火の如く紅い扇。

自分の地位を示すかのように、高く掲げられ、神々しく煌めいている。

それを見るなり、部下のふたりは素早く後退し、総代の脇へ戻る。

「おいっ! なぜ下がる!?」

「ちっ!」

突然敵にひかれた七瀬くんと乱麻くんはくりだそうとした技をぶつけられず、目を丸くして固まっていた。

「手始めに、まだ遊んでやっていたのだが、どうも死に急ぎたいらしい。総代自ら、半端者3匹、始末してやろう」


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