狙われし姫巫女と半妖の守護者
戦いが始まったときのように、室内の両端に敵味方がくっきりと分けられる。
両軍の空白の間には、眩く光るガラス片と粉になった木片。
荒んだ資料室。
誰一人、一歩も前には出ない。
3人とも足を前後に開き、いつでも飛びかかる態勢でかまえている。
乱麻くんは歯茎までむき出しにして牙をむき、七瀬くんは握った拳を体の後ろまで引き助走を十分につけようとしている。
背中しか見えない紫希は、全身の筋肉を張り詰めさせたまま、髪一本揺らさず、刀を構えている。
息をも許さぬ静寂。
掲げたまま振り下ろされない扇子。
せきとめられた時の流れ。
緊張の糸が張り詰める空間。
私は、ぎりぎりと悲鳴をあげるくらいに歯を食いしばる。
緊張する鼓動に乗じて、胸の痣が焼けるように痛む。
いつ、どちらから、戦いの刃が振り下ろされるかわからない中、痛みはひどくなる一方。