狙われし姫巫女と半妖の守護者
それでも私は懸命に目を見開き、息を殺しながら、恐ろしいひと時が始まるのを怖々見ていた。
そうしてその時、恐ろしい翼が大きく風を仰いで飛び立った。
声も出せない。
風が大群となって体に押し寄せ一歩も前に出ない。
悲鳴まじりになんとか息を吸い込む間には、頭上に広がる闇。
血の気のない白い顔の中の、無慈悲な瞳とピタリ視線が合う。
心臓が跳ね上がる。
見上げたまま、釘でも打たれたように動けない私。
そんな私の頭上で、迷いひとつなくふりぬかれる紅の扇。
黒々としたまがまがしい塊が生み出され、むくむくと巨大化して押し寄せる。
「なにをぼっとしている!?」
耳をつんざく声でハッとすると、目も口もありったけ開けて必死の形相をした紫希の体が私の体に真正面からぶつかる。
右の七瀬くんも左の乱麻くんも私の上へ身を投げてくる。