狙われし姫巫女と半妖の守護者
眉間に力を入れて目を凝らしても光以外になにも見えない。
戸も天井も確認できないほど、光に焼きだされた室内。
気づけば、恐怖にこわばっていた指先がぽかぽかとあたたかい。
胸の痛みは消えていた。
胸に視線を落とせば、光の放出は緩やかになり、光の粒が蝶のように舞いだしている。
私はその光に指を伸べた。
けれどその瞬間に、聞き覚えのあるちょっぴり低い、優しい声が耳を撫でたのだ。
「凛……!」
光の中に浮かび上がる、乱れ舞う黒髪。
大きく開かれた、切れ長の瞳。
ああ、私の名前。
こんなものを噴き出しているのに、姫巫女なんて変な名で呼ばれない。
頬に一筋の涙が伝う。
着物のほころびからのぞく無数のキズが、魔法にかかったかのように消えていく。
光が、紫希を優しく包みこんでいる。