狙われし姫巫女と半妖の守護者
「紫希……」
私は力なく顔を綻ばせる。
でも、なぜか開いたままの目から涙がこぼれ落ちて止まらない。
血を流したあなたを癒せて、ほっとしているのに、胸が苦しいの。
それはきっと、普通だと思い続けてきた自分が、そうではなかったと本当に知ってしまったから……。
きかされた悲しい話が、真実になってしまうから……。
ウソじゃ、なかったんだ……。
「覚醒したな、姫巫女よ」
遠くから聞こえる低く沈んだ声が、胸を深く刺す。
黄色い光でかすんだ先。
黄色と白の光が入り混じる窓の外。
腕で体を防御しながら、苦々しい顔をしている九条くんが私を睨んでいた。
「一次退却だ!」
そう叫べば、黒い羽根を散らしながら逃げていく、2人の烏天狗。
私はほっと息をついたけれど、九条くんは突然大きく口を開いた。