狙われし姫巫女と半妖の守護者
「晴れて姫巫女となった祝いに、ひとつ教えてやろう。16年前の戦は、お主もよく知る者が裏で手引きをした。つまり、そやつがお主の母を殺したのだ」
力が入らない。
肩がすとんと下がる。
口は半開きのまま動かなくて、私は言葉も知らない赤ん坊に戻ったよう。
私の知っている人?
その人がお母さんを殺した……?
わからない。
わからなくて、私は脱力して顔を横に振る。
私は顔をぐしゃぐしゃに歪め、胸にギュッと手を押し当てる。
息ができない、苦しい。
「凛! まともに聞くな! 烏天狗のやつの言うことだぞ!」
紫希が私の方を掴んで揺する。
いきりたった紫希の顔しか見えなくなる。
あらくなった息がかかる。
でも、私の頭には烏天狗の声ばかりが響いている。