狙われし姫巫女と半妖の守護者
決意
*・*・*・*・*
ろうそくは姿をなくしていた。
窓からは白い光が溢れていた。
私は俯いて、涙の代わりに肩から髪をばらりと垂らす。
「時間は残酷だね」
枕の傍らには四角く畳んだ濃い灰色の羽織り。
微かに、自分を嘲笑う。
そしてお腹までかけてあった布団にしがみついた。
私は結局、紫希を呼び戻せなかった。
ずっと布団に張り付いていた。
でもそれは、力がなくて動けなかったわけじゃなくて……。
決意の塊と化した彼に、迷いばかりの私は言葉をかけに行く意気地がなかったから。
ただそれだけ。
それだけで私は、彼ひとりの名を呼ぶこともできなかったんだ。
「いや時間は悪くないね。なにも動かなかった私の方が、よっぽど酷いよね……」