狙われし姫巫女と半妖の守護者
キラキラ輝いて眩しかったあの後ろ姿。
私には程遠い。
「大切な人を守るためには、離れた場所にも行かなきゃいけない。でも、怖いの」
自分で決めた普通の基準の輪をぐるりと周りに描いて、その一歩外側へ踏み出したことなんて、私にはない。
今度は彼の広くて孤独な背中が脳裏をよぎる。
「大事な人が、重いもの背負いすぎていても、私はうまく肩替りできない。なにもできずに見てるのが、辛くて仕方ないの」
どんなに悔しくても、できたことは泣くことだけ。
私は拭いきれない涙を何度も拭う。
やっぱり、私は弱いんだ。
心細くて、小さなスマホだけを私は必死に握っている。
「凛は、結構バカだよね」
真央の弾けた笑い声が響く。
すると、がちがちだった指が一気に緩んだ。
「なにも自分をわかってないね。確かに、凛は泣き虫の弱虫だ。でもね」