狙われし姫巫女と半妖の守護者
電話の向こうで、楽しそうに跳ねる声。
私は首を傾げた。
頭の中が弾けたようにまっ白になる。
その時、カラカラにまっ白になった頭に真央の声が響き渡った。
「凛の性根はさ、どうしたってヒーローなんだよ」
部屋の中が光で溢れかえる。
思いもしない言葉に弾かれて見上げれば、窓の外の雲は蹴散らされ、子供の頃描いたような澄みきった水色の空が広がっていた。
「私が凛にあの日、ハンカチを差し出したのは、凛の強い目が好きだったからだよ。泣いてるのに、なにクソ、コノヤローってそんな目してて、すごい子だなって思った」
晴れ渡っていく。
目がくらむ。
思い出す。
まっ赤な夕日が滲んで歪んでいたあの日の、ガチガチにかたく握りしめていた拳。
私はあの手の平の中に、なにを握っていた……?
「昨日だって、怖かっただろうに、私のことを必死に助けようとしてくれてた」