狙われし姫巫女と半妖の守護者


私は手の平を窓からの光にかざす。

光を透かして赤く色づくちっぽけな手。

私が握っていたのは、悔しさだ。

そして、なにより強く握りしめていたのは、守りたいっていう強い気持ち。

「凛は強いよ。理不尽なこと、許せないし、屈しない。凛は、泣き虫のヒーローだよ」

私はふるふると首を振る。

紫希みたいに鍛えられた手じゃない。

戦いを知らないやわな手。

でも、私はこの手にあといくつ、悔しさを、守れなかったものの重さを握ろうとしているのだろう?

その度に、私はきっと何度も後悔を重ねていく。

もっともっと胸を張れない自分になっていくのが、目に見える。

「友達としては、遠くの危ない所になんて行ってほしくないよ。でも、凛の答えはもう決まってるでしょ。話してたら、凛の望みはひとつ、はっきりと聞こえてきてた」

私はハッと目を丸くして、息をのんだ。

真央の声は、強い風。


< 288 / 568 >

この作品をシェア

pagetop