狙われし姫巫女と半妖の守護者
いとも簡単に、私の心のど真ん中を荒らして吹き抜けていく。
「守りたいものがあるんでしょ? その大事な人から目がはなせないんでしょ? 自信がないからって凛は、諦めきれるの?」
こびりついていた雲も、容赦なく片っ端から叩き落としていく。
悩む暇なんて与えてはくれない。
朝の新品の空が恥ずかしいほど無垢に煌めいて、遥か遠くから私を見下ろし笑っている。
「迷いを脱ぎ捨てたら、なんの望みがむき出しになるの? それが答えでしょ」
叱りつけるような声が、背中を強く叩く。
私はパチンとはじかれて、立ち上がる。
私はもう真っ青なこの空に目を細めないよ。
真央のおかげで、私の心ははだかんぼうだ。
だけど、いらない荷物なら全部叩き落としていこう。
体を錆びつかせる迷いなんて、そぎ落としてしまえ。
「ありがとう、真央! 私、強くなってくる」