狙われし姫巫女と半妖の守護者
「おう! みんながついてる。行ってきな!」
軽い体で床を蹴る。
勇気をくれた真央はポケットの中。
恐怖なんて今は体の奥へしまとっけ。
私は、今度こそこの手の平に大切なものを握るんだ。
四の五の言う前に、動いてみろ私。
自分の頬を一発ぶつ。
もう朝はきた。
さあ、自分で決めた安全圏の外側へ、今こそ飛び出せ。
私は自分のこの手で、古めかしい木の戸を開け放った。
荒々しくぶつかってくる外の風。
煌めく黄緑が風に踊る。
目の前で、目をまん丸にした紫希が呆然と突っ立っている。
「紫希、私決めた。半妖の村へ行くよ。でも、守られるために行くんじゃない」
私は目の前にいるいつも壊れてしまいそうな彼だけを見て、大声で叫ぶ。
彼は唖然として声も失い、着物をはためかせている。