狙われし姫巫女と半妖の守護者
彼の手が困ったように頭を掻き毟る。
「頑固だな。俺の気持ち、全部無視かよ……」
弱々しい声に私は目を見張る。
けれど次の瞬間、私の手はかたく握られていた。
骨ばった紫希の手。
かわされている握手。
私は認めてもらえたの?
風が私たちの間を走り去っていく。
私は交わっている手に釘づけになっている。
その時、力強い紫希の声が飛び込んできた。
「無理だけはしてくれるなよ。よろしく頼む」
心臓がドキリと跳ねた。
真正面から、きれいな黒い瞳を逸らさずに紫希が見つめてくれていたから。
鼻の奥がつんと痛くなって、鼻をすする。
怖くてしかたなかったはずなのに、今だって泣きそうなのに、不思議と顔がほころんでしまう。