狙われし姫巫女と半妖の守護者


私は大きく頷いた。

「はい」

それは、紫希が仲間と認めてくれたみたいに握手をしてくれたからだろうか。

彼の手がとってもあたたかくて、結局支えられているからなのかもしれない。

なんであれ、私の旅は今にしてやっと始まった。

16歳になりたての春、鮮やかなほどの緑に色づいた季節の中で。

*・*・*・*・*

「こんなに早く行かなくてもいいんだぞ?」

旅支度で、質素なふくらみの風呂敷をぶら下げている紫希は、私の顔を覗き込んで問いかけた。

あれから太陽は頭の真上まで登った。

目の前には道なき森が広がっている。

紫希の家を背に私は一度も振り向いていない。

紫希の隣には、若葉と同じ色をした着物をふわりと纏う七瀬くんと、エンジの着物の袖を肩までめくりあげた乱麻くんが並んでいる。


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