狙われし姫巫女と半妖の守護者


「感想それだけ? あの九条琴弥に対して?」

真央は顔をしかめて面倒くさそうに足を組んだ。

「“あの”がつくほど、有名なわけ……?」

私はたじろいで、ご飯を一気に飲み込む。

無理にものを押しこまれた喉が窮屈そうに唸った。

「そりゃそうだよ。周りを見てみなよ。女子がみんな狙ってる」

真央が片手でひらりとあたりを指し示す。

いくつかあるお昼グループの中には、あからさまに何度も彼を見てはキャッキャッと騒ぐ集団があった。

そしてそっと、彼へと視線を戻してみる。

机の縁に添えられた繊細な白い手、すらりと伸びる長い足。

前髪の上がった黒髪の短髪に、細い目の横の色っぽい泣きぼくろ。

確かに彼は目立つ。

私だってもちろんかっこいいと思う。

彼はなんでかキラキラとしていて、そこにいるだけで華々しい。


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