狙われし姫巫女と半妖の守護者
隣を確認すれば、案の定、エンジの袖が視界の端で揺れる。
ひょっこりと私の前に顔を出し、口角をつり上げてイタズラっぽく笑う乱麻くん。
私は仕返しにしたり顔をしてみせた。
「残念。違うよ。しいて言うなら、いい意味での武者震いってとこかな」
乱麻くんは歯を出して更に笑う。
「弱虫のくせに、一丁前に肝座らせてんじゃん」
鼻歌まじりにくるりと回って私の横に並び立つ乱麻くん。
私は笑顔で洞窟を見据える。
なにを怖がることがあるだろう。
だって、この先にあるのは、お母さんが愛し守った村。
怖くなんてない。
きっと、優しい村。
お母さんの強くてあたたかい愛に会える村なんだ。
その時、ランプを手に持った紫希が私たちの前に歩み出た。
紫希が私に目配せをする。