狙われし姫巫女と半妖の守護者
いつもこんなに歩いているのだろうか。
「ねえ、紫希。出口はまだ遠いの? なんにも光が見えてこないんだけど」
不安になって思わず目の前の背中に質問を投げかけた。
でも紫希は粛々と答えるだけ。
「いや、そろそろだ。光はだんだんと近付いてくるのではなく、突然現れる。不用意に入った人間が間違って迷いこまないよう、そういう作りになっている」
私は思わず顎を突き出して、顔をしかめた。
突然現れる?
なにそれ瞬間移動?
超魔術?
疲れた頭がおかしなことばかり考える。
「くくっ。今、超不細工な顔してるでしょ? これだから人間は面白いよね~。自分だって異次元な存在のくせにさ」
不、細、工……。
背後でひとつの声から笑いが沸き起こる。
顔がかあっと熱くなる。
私は恥ずかしさが破裂しそうになって、目を見開いてバッと振り向いた。